Q:妊娠中は歯科治療できないのか?レントゲンや投薬ができないので我慢しなければいけないのか?

A:予防的な処置も含めて歯科治療をうけることはお腹の赤ちゃんや妊婦さんの不利益になりません。
診断のための頸部(甲状腺)と腹部を保護してのエックス線、痛みをとるためのキシロカイン麻酔や鎮痛薬アセトアミノフェン、感染症治療薬のペニシリンは利用価値の高いものです。

ただし、妊娠第1期と第3期は非ステロイド性抗炎症薬の使用は避けましょう。


Q:歯科治療のときの姿勢が苦しい。

A:お腹がおおきくなって上向きに寝ると子宮に血管が圧迫されて苦しくなることがあります。(仰臥位低血圧症候群)これには背もたれを約30°程起こしてセミリクライニング姿勢にすることで対応できます。

あるいは、頻繁に姿勢をかえる、右腰下にクッションをひく、左側を下にして横になってもらう(左側臥位)などです。


Q:つわりで苦しいのに歯磨きを一生懸命やりなさいといわれた。

A:つわりは妊婦さんの70%~85%が経験するといいます。繰り返す嘔吐の場合は、胃内容物の酸によって歯が侵され酸蝕症になることもあります。

高濃度フッ素含有歯磨き粉(フッ素5000ppm)やフッ素洗口液の使用で酸から歯を守りましょう。高濃度フッ素含有歯磨き粉は歯を磨くというよりは歯に薬を塗る感覚でつかうので、つわりがあっても使いやすいでしょう。


Q:妊娠に気づかずに治療した。中絶したほうがよいのか?

A:妊娠中の歯科治療、歯周病トリートメントは妊婦と胎児にとって安全です。
妊娠中毒症も歯科治療の禁忌ではありません。むしろ早期低体重児出産をさけるためには積極的に受けるべきです。妊娠する可能性のある女性の15%は重篤な歯周病であるといわれています。

そのまま放置すれば、早産のリスクが残ります。欧米では産科医が妊娠中の歯科治療は安全で重要であることを、妊婦に説明し、認識させます。

もし歯科による口腔内のコントロールをうけていない場合は、紹介状をだして歯科受診を促すほどです。


Q:女性のライフイベントについての口腔保健に関する情報が少ない。

  • 砂糖、果糖、クッキー、クラッカー、チップスなど発酵性の炭水化物は食事時のみにとるようにしましょう食べ物:砂糖、果糖、クッキー、クラッカー、チップスなど発酵性の炭水化物は食事時のみにとるようにしましょう。頻繁な間食は虫歯のリスクを高めます。ジュース、ソーダ、スポーツドリンク、ダイエットソーダなどの炭酸飲 料を間食としてとるのをひかえましょう。虫歯の原因となる砂糖を多くふくんでいます。ダイエットソーダでさえエナメル質を弱くする酸を含みます。特にこれらはカフェイン、クエン酸を含みます。
  • 習慣:良い口腔衛生週間を身につけてください。フッ素入り歯磨き粉で1日に2回みがいてください。特に就寝前は効果的です。フロスも使うといいでしょう。キシリトールガムやキシリトール製品を1日に4~5回、食後に使用し てください。
  • 歯周病:歯周病の見地からのべると、妊娠期のホルモン変化はプレボテラ、ポルフィロモナスなど歯周病菌を増加させます。出血、発赤、腫脹、などの歯肉の症状は妊娠13W~28W頃には明らかになり、8ヶ月頃にピークになります。特に、奥歯よりも前歯で顕著です。歯垢の蓄積による歯肉炎は妊婦に最も良く起こる症状で、60~75%にみられます。

歯垢の蓄積による歯肉炎妊娠と歯科治療

  • 口呼吸:妊娠期のホルモン変化は口腔乾燥症を引き起こします。およそ44%の妊婦は持続的な口腔乾燥を訴えます。そのほか、70%の妊婦が呼吸がしにくいと感じ、過呼吸、いびき、鼻炎が報告されています。
  • 歯科治療:妊婦さんの口腔内から虫歯菌を少なくするためにも歯科治療が勧められます。
  • 予防策:中程度~重度の歯周病の場合

28Wまで2~3Wに1回 歯科衛生士によるプロフェッショナルケアー

自宅で出産まで毎日ブラッシングと0.12%クロルヘキシジン洗口

68%早産・低体重児出産のリスク軽減

妊娠と歯科治療

  • 感染の機会をへらす:妊婦の口腔感染症をコントロールすることは、お母さんから子供への口腔内細菌の感染の機会を減らすことを意味します。
    妊娠6ヶ月の最終週から、出産まで2W毎にプロフェッショナルによるスケーリング、ポリッシングなどの予防と口腔衛生指導そして、0.05%フッ素と0.12%CHXのマウスリンスを毎日使用を、20日間のサイクルで3回そして10日間リンスなしが2回おこなうと妊婦の口腔内虫歯菌(ストレプトコッカスミュータンス)が非常に低いレベルに抑制される事がわかっています。
    その結果、感染先である子供の口腔内も生後2歳まで虫歯菌が大変少なくなります。デンタルケアーのプランニングで最も重要な目的は妊婦の健康な口腔環境を確立することです。この目的達成のために、十分なプラークコントロール(ブラッシング、クロルヘキシジンのリンス、キシリトール、デンタルフロス)とスケーリング、ルートプレーニングやPMTCなどのプロフェッショナルケアーがひつようです。

Q:赤ちゃんの歯についての知識

A:子供の虫歯のリスクを下げるために

  • 母乳や哺乳瓶で授乳したあと、柔らかい布で、特に歯茎と歯の境目をふいてプラークをとってあげてください。
  • 就寝前に子供の小指の爪ほどの大きさの歯磨き粉をつけて磨いてください。2歳以上はフッ素入りの歯磨き粉をつかっていましょう。2歳以下でも虫歯のリスクが高い場合は、フッ素入り歯磨きを使います。7歳になるまでは、仕上げ磨きをしてあげてください。結構難しいものです。7歳になるまでは、仕上げ磨きをしてあげてください
  • 水以外のものをいれた哺乳瓶やシピーカップをもたせたまま、ベッドに寝かせるのはやめましょう。重症の虫歯になる危険性があります。
  • 親子で唾液をシェアーする行為は避けましょう。例えば、キス、子供の体に口を付けるなどです。味見をする時スプーンを子供と共有する、落ちたおしゃぶりを口の中で清掃する、唾液でぬらした布で子供の口まわりを拭くこともきをつけましょう。年長のこどもの場合も、ストロー、コップ、生活用品の共有を避けましょう。

親子で唾液をシェアーする行為は避けましょう

  • 食事の合間には水のみをいれたシピーカップ、哺乳瓶を使いましょう。12ヶ月までにはこれらのボトルの習慣はやめるように努力します。

食事の合間には水のみをいれたシピーカップ、哺乳瓶を使いましょう

  • 1日の摂取量を摂るためには、フルーツジュースよりも新鮮な果物をとるようにしましょう。

フルーツジュース新鮮な果物

  • 定期的に子供の唇をめくって、歯をよくみてください。白斑や茶色い虫歯がみつかることがあります。

赤ちゃんの歯についての知識

  • できれば6ヶ月ころからカリエス リスク アセスメント(虫歯のできやすさ)を受けましょう。口腔内疾患を発症させないレベルまで、細菌をコントロールすることが大切です。

ケガ予防として

  • 入浴中めをはなさない。
  • 電気コードに注意
  • 薬、タバコをあやまって口にする。
  • チャイルドシートの使用
  • 三輪車、自転車に乗るときのヘルメット、マウスガード
  • ケガ、緊急時の連絡先を携帯電話に登録する