歯周病
歯周病は、主に歯周病菌が悪さをしておきる病気です。他の感染症のように1種類の細菌が悪さをして病気を引きおこすのではなく、歯周病の発症には複数の細菌が関与しています。
口の中には数百種類の細菌がいますが、歯周病に関与している細菌(歯周病菌)は10~20種類ほどとされています。
慢性的な歯周病では、ポルフィノモナス・ジンジバリス、トレポネーマ・デンティコーラ、タンネレラ・フォーサイセンシスの3つの菌が多くみられます。当院では、位相差顕微鏡を使ってこの様な細菌がいないかどうか、検査しています。
はじめて顕微鏡をみた患者様は、多くが驚かれますが、どんな方も口の中に細菌はいます。細菌の数のバランスや、歯周病を進める悪い細菌を駆除する事が大切です。
●歯周病菌の栄養源
歯周病菌の主な栄養源は、歯と歯肉の間の溝「歯周ポケット」の歯肉から出てくるアミノ酸を主な栄養源としています。その他には、唾液の中のアミノ酸、食べ物と共に入ってくるショ糖(砂糖の主成分)、ブドウ糖、果糖を栄養源としているものもあります。
歯周ポケット(歯と歯肉の間にある溝) 歯周ポケット内の歯周病菌
●歯周病菌の歯や歯肉に対する作用
歯周ポケットは「歯周病菌の巣」ともいわれ、多くの歯周病菌が住み着いています。そして、歯周病菌が出す毒素によって歯肉が腫れたり、出血したりします。
歯周ポケット深くに入り込んだ歯周病菌は、歯を支える骨(歯槽骨)を溶かし、歯をグラグラにしたり、歯肉を下げることがあります。最後には歯が抜け落ちます。
●歯周病菌の全身に対する作用
歯周病菌は歯や歯肉だけでなく、早産、心臓病、糖尿病、肺炎などの病気にも関与しているとされています。
例えば、歯周病が悪化すると、歯肉の血管が切れて出血しやすくなります。そこから歯周病菌は血管に入り込み、血液を介して心臓まで運ばれます。
心臓まで達した歯周病菌は、血管の内側を狭くしたり、つまらせ、狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)などの心臓病をひきおこすことがあるとされています。
歯周病菌の全身に対する作用
早産(低出生体重児)をひきおこす 心臓病(狭心症、心筋梗塞)をひきおこす
糖尿病を悪化させる 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)に関与 認知症をひきおこす
肺炎(誤嚥性肺炎)をひきおこす 肥満、高脂血症に関与
皮膚疾患(掌蹠膿疱症、しょうせきのうほうしょう)に関与
●歯周病菌を繁殖させないために
歯周病の予防処置・治療では、歯のクリーニング(PMTC)などの処置によって歯周病菌を減らしたり、歯周病菌の巣である歯周ポケットを浅くして、歯周病菌が住みにくい環境にしていきます。
歯周病菌を減らす予防処置、治療
毎日のしっかりした歯みがき 正しい食生活 規則正しい生活リズム
きれいな歯並び ストレスの少ない生活 鼻呼吸 歯のクリーニング
歯石の除去などの治療 全身の病気(糖尿病など)の治療 禁煙
歯周病の手術(フラップ手術、エムドゲイン、GTRなど)
歯科医師 丹羽